経営計画上での人材は一般的に「人件費」として計上され、人件費の目安は「労働分配率」等の経営指標で表されているようです。また、人事部における賃金体系は、全国平均の初任給をベースに年齢別に区切った標準的な給与表を設計し、運用が行われているのが現状でしょう。この場合、経営計画の人件費と人事制度の賃金体系は、部分最適化としてそれぞれ機能していますが、全体最適の視点では、「機能不全」といっても過言ではありません。
結果として、経営と人事は分断され、周知のとおり、大手企業は毎年賃金引き上げの交渉が行われています。企業の経営陣と社員を代表する労働組合幹部の賃金闘争は「百外あって一利なし」となっては、企業の大きな損失だと考えることが重要です。
大企業はともかく、中小企業の賃金闘争は「経営資源である『時間』のムダ・ムリ・ムラ」を生み出す原因にもなりかねません。中小企業は、「労務管理」から「人的資源管理」へ発想の転換を図り、経営と人事をつなぐ新しい経営人事制度の構築と経営人事のシステム化を図り、企業の業績向上へつなぎたいものです。