中期経営計画の成果は「人材の捉え方が鍵」

企業の成長に欠かせないのが「経営資源」の有効活用にあります。経営資源とは言うまでもなく、「ヒト」「モノ」「カネ」を指します。この重要な3要素はすべて『ヒト』次第です。ヒトがモノを使い、ヒトがカネを使って初めて企業活動が始まるからです。

 

経営計画もしかり、計画の策定は「ヒト」であり、計画の運用も「ヒト」、結果を出すのも「ヒト」です。ここでいう「ヒト」は、いうまでもなく会社組織の『社員』を指します。社員は人材とも呼ばれています。人材とは企業にとって貴重な能力をもった社員であり、貢献してくれる社員の意味です。

 

会社の業績が厳しくなると、人材の「材」は材料の『材』として、経費削減の有効な手段として「賃金カット・リストラ・早期退職」等が用いられてきました。しかし昨今では、労働市場の人手不足も重なり、人材の材を材料でなく「人財」=『宝』という意味を含めた当て字を使用することが増えてきています。

 

ここで、人材の新たな定義づけが必要かと存じます。人材は英語で言うと「human ヒューマン(人) resource リソ-ス(資源)」にあたる概念であり、企業の業績向上に向けた「人的資源」なのです。この人的資源を有効に活用することが、近未来の経営者のあるべき姿でもあります。

 

実際、中小企業の経営者は、重要と考える「経営課題」の中で、注力する分野に『人材』をどのように見ているのか。中小企業白書で考察してみることにします。

 

2011年度の中小企業白書の第1節に、「第3-2-1経営基盤の強化に向けて注力する分野」の図表が掲載されています。この図表では、経営課題項目の優先順位が表示され、

第1位:営業力・販売力の強化

第2位:人材の確保・育成

第3位:販売価格引き下げ、コストダウン

となっています。

2020年度版の中小企業白書では、経営課題の「優先順位ベスト3(青色グラフ=維持・拡大)」は、第1位:人材、第2位:営業・販路開拓、第3位:生産・製造等となっています。

 

2011年と2020年を比較すると、「人材」が1位で、「営業」が2位となり順位が逆転しています。さらに、2011年の営業と人材の回答率の差は「38.2ポイント」、2020年度の人材と営業の差は「9.4ポイント」で、その差は「28.8ポイント」も減少していることが分かります。

 

人材は経費(コスト)でなく、人的資源と考え「人材の定着・育成」と「活性化」を進めることを第一とし、同時並行に営業力の強化を進めていこうという経営者の意識の変化が強く窺われます。つまり、人をコストでなく戦略的資源と考え、「人的資源の投資対効果」を長期・短期で取り組んでいくということでしょう。

昨今、人事労務管理から人的資源管理へと向かっています。人的資源管理とは「経営目標を達成するために人的資源を活用し、人材活用の新たな人事制度の設計と運用を行う」ことを言います。

 

結論として言えるのは、経営計画と人的資源管理を紡(つむ)ぐことによって、経営計画が効率よく運用され、成果へ大きく導くことができることです。

 

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