成長戦略と顧客づくりシステムの成功事例

4. A社の軌跡: 弊所による成功への経営コンサルプロセス

 A社が成長の新たな道を歩み始めたその背後には、弊所の革新的な経営コンサルティング手法があります。ここでは、その具体的なプロセスを実際の資料を基にご紹介します。

1) 新たな経営理念の明文化

(1)経営者としての理想像の探求

  • 「小林一三」「松下幸之助」「稲盛和夫」といった偉大な経営者の著作を読み、彼らの哲学を学びます。
  • 最も影響を受けた経営者の書籍に基づいて感想文を書き、学んだ経営指針12箇条をまとめます。
  • 自己の経験と未来の経営者像を照らし合わせたレポートを作成します。

これらの活動を基に、弊所のフォーマットに沿って、A社の新たな経営理念を明文化しました。

(2)明文化された経営理念

一.社員の幸福追求

わが社は、社員が日本一働きがいと働きやすさを実感できる職場を目指し、社員は会社の発展に尽力します

一.顧客満足の向上

快適な家電生活を提案し、お客様の生活の質の向上に努めます

一.地域社会への貢献

地域コミュニティ活動に積極的に参加し、地域住民と一体感のある街づくりに貢献します

 重要なのは、この経営理念を全社員に徹底させることです。そのために、毎朝の礼拝で全員が理念を唱和し、日々の業務に生かします。

(3)経営理念の影響

 

 2022年、新たに2名の社員が採用されました。彼らは「貴社の経営理念に感動した」と述べています。これには田中和夫社長も感激し、目頭を熱くしていました。

 

 この事例は、適切な経営理念が如何にして企業文化を変え、組織全体を鼓舞するかを示しています。弊所の指導の下、A社は明るい未来に向かって確実に前進しています。

2) 経営計画の策定

(1)田中和夫社長の新たな挑戦とA社の未来

 

 田中和夫社長の就任を祝し、日本料理店での食事会が開催されました。その席で、私は田中社長に売上拡大の目標を尋ねました。「念願の3億円達成です」と彼は断固として答えました。私が「3億円の目標は難しいのでは…?」と疑問を投げかけると、彼はただちに「なぜですか?」と反問しました。

 

 私は即座に回答しました。「3億円の目標は、現在の努力だけでは達成が難しいでしょう。これは過去の実績が既に示しています。ここで必要なのは発想の転換です。売上目標を4億円から5億円に設定し、新たな経営革新に取り組むべきです。そうすることで、3億円は単なる通過点となります。これが新しい経営目標を掲げる際の肝となる点です。」経営革新は、新しい経営計画と組織体制の再構築が必要です。具体的には、既存社員の活性化と営業スタッフの増員、さらに営業活動のシステム化が求められます。最も重要なのは、社員一人ひとりの成長を信じることです。

 

 弊所は、経営を財務管理から人的資本経営へとシフトさせることの重要性を強調しました。これには、人的資源に適した新たな人事評価制度の導入が不可欠です。田中社長は、この新方針が田中会長からも支持されていることを再確認しました。

 

 最後に、田中社長は謙虚に頭を下げ、「貴所の成長戦略と顧客づくりシステムのノウハウを信じて、これから5年間、挑戦を続けます。どうぞよろしくお願いします」と述べました。彼の前向きな姿勢と謙虚さに、私は深く感動しました。これにより、A社の新たな挑戦が始まりました。

(2)中期5年経営計画の概要

 

 A社では、地域家電店としての訪問販売とサービス活動を通じ、人材の成長を売上拡大の核として位置づけています。次の5年間の経営目標を4億円と設定ました。その目標は、以下の図表4に示されています。

 経営目標を達成するためには、具体的な経営課題を設定し、それに基づいた経営政策と施策を実行することが重要です。

 

 以下に、「4億GO作戦」の経営政策と7つの経営施策を挙げます。

【4億GO作戦:経営政策】

  1. 「中期ローリング」プランの徹底
  2. 月次販売予算の管理と短期経営計画の策定
  3. 年間の販促計画と売り場作りの実施
  4. 営業活動のシステム化とPDCAサイクルの導入
  5. 「信玄くん」の活用と年間の人事評価発表及び教育研修
  6. 経営方針会の開催と決算報告、表彰制度の実行
  7. 営業パーソンの中途採用強化、3年以内に3名の採用目標

 これらの施策は、A社が次のステージへと進むための基盤を築くものです。社員一人ひとりの成長が会社全体の発展を加速させると信じています。

3) 営業活動のシステム化の導入:営業パーソンの顧客づくりの武器

 営業活動のシステム化では、単なる「達人セールスマン」に焦点を当てるのではなく、顧客の購買相談や問題解決を支援することを楽しむ営業社員に注目しています。このアプローチは、顧客情報の活用と、「行動量と質」を管理するPDCAマネジメントサイクルによって、売上目標の達成を保証します。

 

 例として、図表5の「花子さん」と呼ばれる行動月報システムがあります。このシステムは営業スタッフの活動をサポートし、それぞれのランクに応じた売上目標達成に必要な訪問件数や成約件数をシミュレーションします。これにより、営業活動と売上目標のバランスが取りやすくなり、計画的な売上進捗が可能です。

 特に、新人営業スタッフの例を見ると、その効果が明確になります。下記の図表6は、新人スタッフの直近2年間の売上実績を示しています。

 地域家電店の営業スタッフが月平均2,500千円の売上を達成するには通常7~8年が必要とされますが、この数字を達成することで営業利益への貢献も大きくなります。しかし、新人スタッフが2年目にしてすでに月平均2,111千円を記録し、3年目での2,500千円達成が期待されています。この実績は、「花子さん」が営業効率を大きく向上させる戦略的なツールであることを示しています。

 

 結果として、営業スタッフの増員は売上拡大を支え、経営計画の精度を向上させる重要な要素です。

4) 戦略的経営人事システム(信玄くん): 人と会社の成長を同時に促進する人事制度

 信玄くんは、従来の人事評価システムが持つ課題を克服し、社員と企業の成長を同時に推進する新しい人事制度です。このシステムは、単に義務的な評価を超え、社員の成長と企業の発展を戦略的にリンクさせます。主要な項目は、次の「人の成長(職位給)」「会社の発展(職責給)」「目標達成の評価の透明性(定量的人事評価)」です。以下のとおり、簡潔にご紹介します。

 ※詳細は、AMPのホームページ「商品サ-ビス案内」をご確認ください。

■人の成長

  • 信玄くんでは、社員の成長はお客様からの信頼度を通じて測定されます。この信頼度は、提供する商品の機能的価値と営業パーソンの情報価値の融合により生まれ、最終的には売上という形で顕著に表れます。具体的には、各職位給ランクに応じた売上目標が設定され、これを達成することで個々の成長が確認できます。

■会社の発展

  • 会社の発展は、営業利益の確保によって支えられます。信玄くんでは、「価値創出利益計算書Ⓡ」を用いて営業利益と売上目標を算出し、これに基づいて職責給の目標が設定されます。これにより、社員は自身の貢献が会社の利益向上にどのように結びついているかを直接的に理解することができます。

■目標達成と評価の透明性 

  • 信玄くんのシステムは、目標達成度を定量的に捉えることが可能であり、これにより、目標を達成できなかった場合には、人事評価システムを活用して問題点を特定し、具体的な改善策を講じることができます。このプロセスは、社員が自己の成長を明確に自己評価し、次のステップに進むための実用的なフィードバックを受け取る機会を提供します。

  • 信玄くんは、単なる人事評価ツール以上のものです。それは個々の社員の成長だけでなく、企業全体の発展を促進する戦略的なパートナーとして機能します。このシステムにより、社員は自己成長を目指しながら、企業の目標達成にも積極的に貢献することが期待されています。

  • 実証事例として、営業チームの「ベテラン」「中堅」「新人」のカテゴリから選ばれた3名のスタッフを紹介します。彼らは「花子さん×信玄くん」システムの導入期間、2019年から2023年の5年間で、顕著な売上実績と賃金の上昇を達成しました。ただし、2022年の賃金データには賞与評価のシフトによる特異性があるため、その年の分析は省略します。

 

【ベテラン:井上社員】

  • 井上社員の売上高と賃金上昇率を見ることで、彼の日々の努力がいかに大きな成果を生んでいるかが明確になります。以下にその傾向を分かりやすくまとめました。

《井上社員の売上拡大》

  • 2018年からの成長:井上社員の売上は、2018年の37,049千円から始まり、2023年には55,115千円に到達しました。これは5年間で48.76%の増加を示し、特に2019年には前年比24.4%の大幅な増加がありました。この年の営業活動の活発さが売上へと直結しています。
  • 顧客データとの連動:一時的な落ち込みを経験した後、売上は再び上昇しました。この回復は、顧客デ-タと花子さんとの効果的な連動によるものです。

注記)2022年の賃金上昇率がマイナスになったのは、賞与の評価期間を変更したためです。

具体的には、賞与評価を従来の当期から、決算書を基にした翌期評価へとシフトしました。

この変更により、2022年度の賞与は支給されませんでした。

《賃金上昇率の変動》

  • 時間とともに増加:開始時は0.00%だった賃金上昇率が、2023年には15.07%にまで増加しました。2021年に記録した22.06%の驚異的な賃金上昇は、同年の売上高の大幅な増加が直接的に反映されたものです。
  • 平均賃金上昇率:年平均5.87%の賃金上昇率は、井上社員の価値ある貢献を数字で証明しています。

 

 井上社員の努力と成果は、個人の成長だけでなく、企業全体の発展にも寄与しています。井上社員の例は、持続的な努力がどのようにして具体的な成果につながるかを示す、見事な事例と言えるでしょう。


 

【中堅:黒川社員】

  • 黒川社員の売上高と賃金上昇率を見ると、その持続的な努力と顕著な成長の軌跡が明確になります。
    以下、彼の素晴らしい進歩を簡潔にご紹介します。

《黒川社員の成果の旅路》

  • 2018年の29,815千円からスタートした黒川社員の売上高は、2023年には37,133千円に達しました。この5年間で、売上は約24.5%増加し、安定した成長を続けています。特にこの成果は、営業会議での戦略的な計画と花子さんによる効果的なマネジメントサイクルの実行によるものです。

※2022年の賃金上昇率がマイナスは、井上社員の図表7の注記を参照してください。

《賃金上昇の傾向》

  • 賃金面では、黒川社員の成長も顕著です。2018年には賃金上昇率が0.00%であったものが、2023年には9.56%へと大幅に増加しました。この大幅な賃金上昇は、彼の絶え間ない努力とその間に達成された成果の明確な証明です。年平均賃金上昇率が3.99%であることからも、経済的報酬の安定した向上が窺えます。

 

【新人:戸田社員】

  • 戸田社員の売上高と賃金上昇率を見ると、その驚異的な成長と進歩が明確になります。ここで、戸田社員の顕著な変化を簡潔にご紹介します。

《売上高の急成長》

  • 戸田社員の売上は、2019年の7,447千円から2023年には33,634千円へと飛躍的に増加しました。この4年間で、売上は大幅に351.64%増加しており、特に2019年から2020年にかけては、新人ながら売上を約2倍に伸ばしています。
  • 戸田社員が花子さんの管理サイクルを理解し、その知識を着実に実践に移したことが、彼の売上拡大に大きく寄与しました。特に、信玄くんの「目標決定システム」を活用することで、戸田社員のモチベーションが高まり、熱心に取り組む姿勢が結果として売上増に繋がったのです。

※2022年の賃金上昇率がマイナスは、井上社員の図表7の注記を参照してください。

《賃金上昇率の安定した上昇》

  • 戸田社員の賃金上昇率は、2019年の0.00%から始まり、2023年には2.97%に達しました。特に2020年には11.35%という著しい上昇を記録しました。年平均で6.40%の賃金上昇率は、戸田社員の価値ある貢献が適切に認識され、評価されていることを示しています。

 私たちは、社員への賃金を目に見える形で示すことが、人を大切にする人的資本経営の理想的なあり方であると確信しています。特に、賃金上昇率の重要性は無視できません。厚生労働省が発表した2023年の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によると、全国の賃上げ率は3.60%に達し、これは1994年以来最高の数値です。一方で、A社は更に高い3.99%から6.40%の賃金成長率を達成し、その経営理念「わが社は、日本一社員が幸せを感じられる職場を目指し、社員は会社の発展に貢献します」を実践しています。これらの成果は、A社がこの理念を維持し、将来にわたって発展し続けるための基盤を固めていることを示しています。